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遺産には、現金や預貯金だけではなく、不動産、株式、自動車、骨董品などの動産類、債権など、様々な物があります。共有できる物もあれば、共有できない物もありますし、端数が出て均等に分割できない物もあります。また、共同相続人の年齢・職業・生活など、状況が異なりますので、もしかすると相続人全員が「お金が欲しい。」と言うかもしれません。前回のブログ「遺産分割協議とはどの様なものなの?」でも書きましたが、遺産分割については、民法で「遺産の分割は、遺産に属する物または権利の種類および性質、各相続人の年齢、職業、心身の状態および生活の状況その他一切の事情を考慮してこれをする。」と定めています。
では、どの様に分割をすればよいのでしょうか?
【分割方法】
遺産分割の方法には「現物分割」「代償分割」「換価分割」といった分割方法があります。
この「現物分割」「代償分割」「換価分割」を組み合わせ、共同相続人全員の同意により遺産分割を行います。
【現物分割】
もっとも原則的な方法が「現物分割」です。
遺産の取り扱いについて、民法の共有物分割の規定が適用されるので「現物分割」が原則であって、それが出来ないときに競売や任意売却等による換価分割(お金に変えて分割すること)ができると考えられています。
現物分割は、土地や現金といった遺産を、ある相続人には「土地」を、ある相続人には「現金」というように「現物のまま」分ける方法です。
【代償分割】
代償分割は、ある相続人に現物で相続分を超える額の遺産を取得させる場合、相続分に満たない遺産しか取得できない相続人が出てきます。この様に、遺産を現物で分けるには均等な現物分割が難しい場合などに、相続分を超える額の遺産を取得した相続人が、相続分を超える額を取得する代わりに個人資産を代償金として負担する方法です。例えば、不動産が1つしかなく、一人の相続人が当該不動産を取得し、他の相続人が遺産を取得できない場合など、遺産を現物で分けるには価額が不均衡になる場合に便利な方法です。
家庭裁判所の審判手続きでは、裁判所が「特別の事由」があると認めるときに限り、代償分割を行うことができるとされています。この特別の事由の意味については、現物分割によることが困難な場合または、現物分割が可能であっても遺産の性質や相続人相互の事情からみて代償分割が適当と認められる場合で、いずれの場合においても、代償金を支払うことになる相続人に支払い能力がある場合に限られます。
【換価分割】
現物分割による方法も、代償分割による方法も難しい場合には、換価分割による遺産分割の方法があります。換価分割による方法とは、遺産の一部または全部を処分し、その代金を相続人で分ける方法をいいます。
家庭裁判所の審判手続きでは、裁判所が換価を命ずることによって、競売若しくは任意売却により遺産の処分がなされます。
上記の「現物分割」「代償分割」「換価分割」を組み合わせ、共同相続人全員の同意により遺産を分割することになります。
いつも「相続手続きは、亡くなる前からのお話しです。」と書いていますが、今回に関しては、大切な方が亡くなり、残された相続人が行う手続き(亡くなってからの手続き)について書かせて頂きました。
しかし、ここで考えて欲しいことは、遺産分割協議で相続した財産は、ご自身が亡くなったときにご自身の相続財産となるということです。財産の残し方など、ちょっとしたことを考えるだけで、ご自身の死亡後にご自身の大切な方々に紛争が生じないようにすることができます。ご自身と、ご自身の大切な人のために、どの様な相続財産があり、どの様な手続きが出来て、どの様な財産を残し、誰に何をどう相続させたいのかを、生きている間に検討してみてはいかがでしょうか。