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1 休眠担保権とは
相続の手続きをしていると、不動産登記簿に、明治・大正・昭和初期などに設定された抵当権や質権などの担保権が抹消登記されないまま現在まで残っていることがあります。この様に残された担保権のことを休眠担保権といい、債権額に「50円」「100円」や「米1俵」など、物価や金銭価値の違いから現在では考えられない金額や穀物が記載されていることも多く、抵当権者が既に死亡していたり、法人が解散していたり、所在が分からなくなっているケースも少なくありません。
休眠担保権は借金が残っていることを意味するものではありませんが、登記簿上に担保権が残っている限り、法律上は権利が存在しているものとして扱われます。
2 休眠担保権を放置するリスク
休眠担保権をそのままにしておくと、次のような支障が生じます。
そのため、休眠担保権は早い段階で整理しておくことが重要です。
3 担保権を単独で抹消できる制度
担保権の抹消登記は、原則として不動産所有者(登記権利者)と担保権者(登記義務者)が共同で申請しなければなりません。
しかし、担保権者が死亡している、所在が分からない、解散した法人であるなど、共同申請ができない場合に、不動産登記法に、一定の条件を整えることにより登記権利者(又は登記義務者)が単独で抹消登記を申請できる制度を設けています。 現在利用できる主な制度は次のとおりです。
| 方 法 | 主な要件 | 特 徴 |
| 判決による抹消 | 確定判決を取得 | 訴訟が必要
訴訟を提起し、確定判決を得て抹消する方法です。(時効消滅等) |
| 死亡・解散による抹消 | 権利消滅の特約がある場合 | 利用例は少ない
権利が死亡や法人解散によって消滅する旨の登記がされている場合に利用できます。 |
| 除権決定による抹消 | 所在不明・公示催告 | 裁判所手続が必要
公示催告を経て裁判所の除権決定を取得して抹消する方法です。 |
| 弁済証書による抹消 | 完全弁済を証明
担保権者が申請できる |
債権証書等が必要
完全弁済を証明する資料を提出して「担保権者」が単独申請する方法です。 |
| 弁済供託による抹消 | 弁済期20年以上・供託・所在不明 | 実務で最も利用される |
| 解散法人の担保権抹消 | 解散30年以上・弁済期30年以上 | 供託不要 |
| 買戻特約の単独抹消 | 売買契約から10年が経過した買戻特約 | 令和5年4月以降、権利者(不動産所有者)が単独で抹消できるようになりました。 |
実務では、この中でも「判決による抹消」「弁済供託による抹消」「解散法人の担保権抹消」「買戻特約の単独抹消」を利用する場面が多くなっています。
本日は、明治・大正・昭和初期などに設定された抵当権や質権など休眠担保権について、どの様なものか総則的な内容を書かせてもらいましたが、次回以降のブログでは「弁済供託による抹消」と「解散法人の担保権抹消」の2つに絞って解説させてもらいます。
【最後に】
司法書士に相続登記を依頼すると、所有者の相続登記だけをしていると思っている方も多く居るかもしれません。司法書士の多くは、相続登記だけでなく無駄な担保権や所有権移転仮登記など、今後の権利関係で不安定な状態になる可能性がある登記が無いかなど、確認を行いながら手続きを行っています。
しかし、司法書士も全員が同じサービスを行っている訳ではなく、相続登記の依頼だから「相続登記」のみを行っていることも多くあります。私の事務所では、皆さんの知らない不動産がないか名寄せを行ったり、未登記建物の名義変更や、既に取り壊し済みの建物の滅失登記(土地家屋調査士に依頼)も行ったりしていますので、祖父・曽祖父の名義のままの不動産や休眠担保権などが多く見つかります。それだけ、過去に手続きを行った方(司法書士も居るかもしれません)が放置していることも多いです。あなたの周りに信頼のできる司法書士は居られますか?おかかえの司法書士や弁護士は居られますか?
もし気になる財産があるのでしたら、スマイル相続プロジェクト、にご相談ください。